北海道社会事業協会小樽病院 産婦人科 黒田敬史
ALSO, BLSOをもっと道内で開催したい。でもマンパワーや開催施設の地盤のない北海道では、開催も道内で年に1度あるかないかという時期が長らく続きました。それでも定期開催のためなんとかみんなでインストラクターを目指そうと、有志で道外コースに自主参加し、「はるばるようこそ」と全国各地で慰めてもらいながら各自が経験を重ねました。久しぶりの道内開催、ALSO,
BLSOを求めて集まったメンバーの結束は強く、道外講師はその様子を見てこう名付けました。「チーム北海道」と。そのまんまなのですが。
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チーム北海道が急変時ハドルを組むときの駒大苫小牧ポーズ。当時ユニフォームも自前の日ハムで統一感を表しました)
やがて広域・多施設・他業種間での連携のポテンシャルを持つこのコース活動は、行政の目にも留まるようになります。2016年WINDが主催し札幌市からもご支援いただいて開催した北海道大学ALSO・札幌市立病院BLSO合同コースをきっかけに、今後地域ニーズに応じた市町村や政府施策事業としての展開を推進することで、道内でも継続的なコース開催ができるのではと考えました。
「ちゃんとした団体にしましょう。」
メンバーの知人が行政との橋渡し役を率先してくれ、事業の一環としてコース運営を受けられるように私たちは団体を設立することになりました。位置付けは「権利能力なき社団」、無力感が漂いますがこれでいいのだそうです。名前はどうしよう。ALSO,
BLSOの本部はOPPIC。これに北海道Hokkaidoの「H」と、救急Emergencyの「E」を加えて「HOPPIEホッピー」。のどごしがよさそうな愛称です。全国が愛してやまないでしょう。和名「北海道周生期医療救急支援の会」は実は後付け、お通しみたいなものでした。2019年3月16日に主要メンバーで砂川に集まり、全道メンバーにも伝え設立を祝いました。
2019年は紋別市と浦河町でBLSOを、小樽市と旭川市でALSOを開催するなど全道各地でコースが盛り上がった年でした。その必要性を嬉しさと共に実感しながら運営する傍ら、札幌市・小樽市・北海道の産婦人科医会、医師会、保健所へと訪問し、さっぽろ連携中枢都市圏施策の一事業として周産期水準向上に資するALSO,
BLSO定期開催を求め説明して回りました。皆様から快諾とともに多くの温かい激励のお言葉をいただきました。
(札幌市医師会長へ訪問。成田、黒田、渡利北海道大学産科婦人科学講座教授、齋藤)
設立からちょうど1年、次年度の札幌市の病診連携部門の予算としてHOPPIEのコース開催運営費が計上されることになりました。その後突如COVID19感染の渦に巻き込まれ、これまでのように緊密に実技指導をするような形式では開催できなくなりましたが、感染予防対策を十分に行いながら、このような状況下でも学びの手を緩めてはならないと、リモート形式でのコース運営ができるようチームで何度も練習を重ねています。2020年9月にはZOOMを併用した旭川ALSOを成功させ、リモートだからこそ全国の講師の力を借りて北海道でのコース開催の可能性はむしろ広がるのでは、との期待すら抱きました。
HOPPIEが北海道で繰り広げるALSO, BLSOが、妊産婦さんやその家族はもちろん、産科医療者や救急隊、そして地域を守るための手助けになれたらと思っています。